日本全国で少子高齢化の流れが進行していますが、それは米原市も例外ではありません。更に人口の東京への一極集中により年々米原市の人口も減少傾向にあるのが現状です。しかし一方で、地方への移住希望者も増え続けているという流れも存在し、米原市への移住希望者も少なくはありません。
同時に問題となっているのが空き家問題です。人口減少に伴い空き家の数が近年加速度的に増えてきており、米原市の空き家は2018年で800軒を超えておりその後も増え続けています。
空き家は人が住んでいないと急速に劣化し、長年放置すると崩壊の危険が高まります。この悩ましい空き家問題をチャンスに変えようと米原市に発足したのが「まいばら空き家対策研究会~恋する空き家プロジェクト~」です。米原市の空き家を調査し、米原市への移住希望者と空き家物件をマッチングし紹介する非営利団体です。しかし、まいばら空き家対策研究会は不動産屋ではないというのが特長です。
まいばら空き家対策研究会とはどのような団体か?どんな活動をされているのか?米原市の空き家の現状について取材させて頂きました。
まいばら空き家対策研究会とは?
初めまして。まいばらんどの馬渕と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
まいばら空き家対策研究会代表の法雲です。よろしくお願いします。
伊夫貴です。
丸本です。
藤木です。よろしくお願いします。
Q1.まいばら空き家対策研究会はどのような経緯で発足したのですか?
人口が減少して空き家も増加していくので、何とか活用できないかという事がはじまりです。米原市に移住したいという方に空き家に住んでもらえれば地域の活性化にも繋がりますし、空き家問題も改善します。そういう事を目標に2016年の春に発足しました。
Q2.まいばら空き家対策研究会ではどのような活動を行っているのですか?
米原市への移住を希望される方に、米原市の空き家を紹介しているのが一つ。そして米原市内で人口減少により空き家が増えておりますので、空き家の情報を頂いて視察、空き家バンクへの登録を行っております。事務局は空き家の無料相談窓口としても開いています。
不動産屋みたいな感じなのでしょうか?
不動産屋とは違うんです。我々のコンセプトとしては、ただ移住してもらって空き家に住んでもらうというよりも、地域に移住してもらうという事を第一に考えております。都会のマンションなどとは違って、自治会活動やご近所さんとの関わりとか違う所がたくさんあります。地域に上手く溶け込んで頂けるお手伝いをさせて頂いて、上手く生活していけそうな方に空き家を紹介しております。
つまり誰でも移住者を受け入れているわけではないんですね。
そういう事です。そういう都会の生活とは違う所があるので、実際に住んでみて思っていた生活と違う!というミスマッチを防ぎたいわけです。なので移住のご相談を頂いた方には実際に事務局へ来てもらって詳しくお話をお聞きします。
例えば自治会には入りたくない!という方には、空き家じゃなくてもアパートやマンションという方法もありますので色々な選択肢を提供しています。
別名で「恋する空き家プロジェクト」という名前が付いていますが、これは目を引く良い名前だなと思いました。
恋する空き家プロジェクトのホームページはね、人気ですよ。相談にいらっしゃったお客さんに「どこで知ったのですか?」と聞くと、ホームページを見ましたという人がほとんどですね。
確かに
公式ホームページの力の入れようは目を見張るものがありますね。堅苦しくなくて親しみやすい名前が良いのかもしれません。
若い人にもキャッチーなネーミングにしようという事で、その成果もあって多くの方に見てもらえてます。
Q3.「恋する空き家プロジェクト」はどのようにして名前が決まったのですか?
空き家ってアパートと違ってそれぞれの家が全く違うんです。個性があって人間のように千差万別なんですよね。
人間にも良い所や悪い所があるでしょう?それでも悪い所を上回る魅力を見つけて上手いこと付き合っていく。それはきっと空き家にも同じことが言えると思うんです。
そう、空き家も長く住んでもらうんだから良い所も悪い所もしっかりわかりあってもらう必要があると思います。それは人間で言う「恋」の段階ではないかと。
長所や短所、色々な条件があるからこそ借り手さんと貸し手さんの会話が大切です。後々ミスマッチがないようにしっかり理解してもらう必要があります。
空き家に恋してもらう…なら、「恋する空き家プロジェクト!」と。
それなら、空き家対策研究会さんは仲人ですね。
その通りです。我々も新しい住人の方と地域の方々が仲良くなれるように責任とプライドを持ってやってます。
住む地域が好きになって初めて空き家に住んでもらえるという事ですので、空き家の前に地域に恋してもらうというのもコンセプトですね。
都会と米原の暮らしでは違う所もたくさんありますよね。人付き合いとか色々と。
そうですね。地域に根づいてもらうという事が基本原則なので、単に空き家を紹介するだけではなく地域を紹介、自治会長さんにも紹介して双方納得してもらった上で住んでもらうようにしてますね。
Q4.実際、米原市へ空き家を求めて相談される方は多いですか?
多いですね。問い合わせが年間600件くらいありまして、移住希望者として登録されている方が現在120人程度です。
120人!
ですが、住んでもらえる空き家が足りないというのが現状です。米原市内には空き家が800軒以上ありますが、空き家バンクに登録してもらっているのは60軒程度しかないんです。空き家をお持ちの方には空き家バンクに登録して頂いて初めて活用の道が拓けるんです。
空き家バンクへの登録が進まない理由として、空き家を貸して知らない人が地域に入ってくる事でご近所さんに迷惑がかかるのではないか?という人もいらっしゃいます。なので空き家対策研究会ではちゃんと地域に馴染んでもらえる方に空き家を紹介しています。
ところで何で移住希望者が多いかわかりますか?
何故米原市へ来られるかですか?それは、京都へ行くにも東京へ行くにも名古屋へ行くにも新幹線で行きやすいからじゃないですかね。
そこです。京都へ行くにも名古屋へ行くにも新幹線で20分ですし、十分通勤もできる範囲なんです。凄く利便性が良いから移住を希望する人が多いんです。そして自然がいっぱいでそこそこ田舎町という所も喜んでもらえてます。
空き家を売りたい・貸したい場合はどうしたらいい?
Q5.例えば今対処に困る空き家を持っているという場合、どうしたらいいですか?
まずは空き家対策研究会へお電話でご連絡ください。
電話:0749-56-1034(平日:8:30~17:00)
空き家は放置していると急速に劣化してしまいますので、早めにご連絡頂きたいですね。今後空き家になるという場合も予めご相談頂くとスムーズです。
空き家は放っておいたら結構お荷物みたいな感じですけど、住んでもらえたら管理する必要はないし、賃貸なら月々の収入になります。
Q6.空き家所有者の方の希望は売却か賃貸かどっちが多いですか?
売りたいという人が多いですね。空き家の所有者は早く手放したいという方が多いんです。
移住を希望する方は賃貸が良いという人が多いですね。最近買いたいという人も増えてきました。
空き家なので、最初は賃貸でお試ししたいという方が多くて。良ければ買いましょうというケースもあります。
まいばら空き家対策研究会へ連絡する方法は電話しかないのですか?
電話のみでお願いしています。
空き家を探したいという人はどうしたらいい?
Q7.米原市で空き家を探したいという場合はどういう流れでご依頼すれば良いですか?
まずはまいばら空き家対策研究会の
ホームページをご覧いただいて私達のコンセプトを知って頂く所からですね。
その後はまいばら空き家対策研究会にお電話でご連絡頂いて、実際に事務局へお越しいただきます。そこでどのような物件が良いとか、どのようなライフスタイルを希望されているかなどお話を伺います。我々も地域の特長とか、自治会についてお話させて頂いています。
地域に住んでもらうというという事が基本原則なので、自治会に入っても良いという方には空き家を紹介しますし、自治会に入りたくないという方には私達のコンセプトとは違うのでお断りしています。
実際に事務局へ来て頂いて、移住希望者として空き家バンクに登録してもらうという事になります。それからライフスタイルに合いそうな空き家物件を何件か紹介させて頂いて、その地域と家の外観の見学ですね。見学して頂いた上で、その地域や家が気に入ったという場合は家の中を見て頂く流れになります。
家の中を見て頂く時に、空き家の所有者さんとの面談も兼ねて行います。家の中も気に入って面談も OK となれば、所有者さんと値段などの直接交渉取引になります。そこは空き家対策研究会は関与しません。
ある程度合意に至りそうになれば、次は自治会長さんとの面談になります。自治会の方も予め面談してもらう事によってどんな人かわかりますし、移住者側にとっても自治会ではどんなルールがあってどんな行事があるのかという事を知ってもらう事によって、入ってからのトラブルを防ぐ事ができます。
地域の事や空き家の条件も全て理解して頂いた上で、この家に住みたいという事であれば最終的に契約となって実際に住んでもらうという流れになります。
就職の面接みたいですね。
面接っていうよりは、審査しているわけではないんですよね。この地域にはこんなルールや行事があるけど、それでも住める?という確認ですね。
人間関係が上手くいかないと双方が困りますし、地域に住んで頂くという事が大原則ですね。それが不動産屋と違う所です。
空き家探しの流れ
- ホームページ閲覧
- まいばら空き家対策研究会へお電話
- 実際に事務局で相談受付・物件紹介
- 地域と空き家の外観見学
- 内部見学と所有者面談
- 所有者との直接交渉・条件協議
- 自治会面談
- 所有者との契約
- 移住・定住
Q8.例えば米原市の人が県外の人と結婚して、空き家対策研究会で空き家を探す事もできるんですか?
はい、それもできますよ。そういうケースも全体の1/3程はあります。
滋賀県内から移住したいという方が1/3、残り1/3が滋賀県外からの移住希望者です。
Q9.空き家の特長としてどんなものが多いですか?
昔ながらの日本家屋が多いです。居間があって客間があって寝間と座敷があるような。今では建てられないような大きい立派なお屋敷が多いです。
大きすぎて困るという人もいます。蔵もあり、車庫もあり、物置もあるという物件もありますし。更に隠居も畑もあるという場合もあります。逆に言えばそれだけ大きな家と敷地が安く買えたり借りれたりするので、子育て家庭の方には気に入って頂けたりします。
Q10.移住したい方にとっては気になる点だと思うのですが、だいたいおいくらなんですか?
具体的な価格は実際に相談に来て頂いてからという事になります。
賃貸ならアパートに比べたら安いし、買うにしても車を買う価格帯に近いですね。
自分で建てたら軽く数千万円はくだらないですからね。今の時代それもなかなか難しいんじゃないかと思います。
空き家をリフォームして住むという選択もありだと思います。
でもすぐに住めるという物件はごくわずかなんですよね。ほとんどはある程度改修が必要になってきます。その為に米原市外から移住される方には補助金制度があるんです。
住宅リフォーム補助金について
Q11.その補助金とはどんなものですか?
色々条件はありますが、空き家リフォーム事業に関する補助金が2種類あります。
条件 |
・市民となる予定の方
・10年以上住む見込みのある方
・米原市内事業者による100万円以上のリフォーム工事
|
空き家リフォーム事業 |
対象物件 |
空き家バンクを通じて取得または賃借した空き家 |
補助金額 |
100万円(補助率2/3) |
補助条件 |
・リフォーム工事完了後に市外から転入して住み始めること。
・世帯員が、空き家所有者等の2親等以内の親族ではないこと。 |
空き家リフォーム事業(子育て世帯) |
対象物件 |
空き家バンクを通じて取得または賃借した空き家 |
補助金額 |
200万円(補助率2/3) |
補助条件 |
・子育て世帯であること。
・リフォーム工事完了後に市外から転入して住み始めること。
・世帯員が、空き家所有者等の2親等以内の親族ではないこと。
・実績報告の時点において耐震基準に適合しているものであること。 |
事前に市役所に申請は必要ですが、空き家のリフォームに最大100万円の補助金が出ますし、子育て世帯なら最大200万円の補助金が出ます。
条件というのは10年以上住む見込みがあるとか、米原市内の事業者に依頼して工事をするという事、100万円以上の工事が対象などですね。結局自分好みにリフォームするので、すぐにパッと住みたいという人には向きません。
補助金額が100万円(補助率2/3)とありますが、補助率2/3とはどういう意味ですか?
全体の工事費用に対して補助金額は2/3まで、最大100万円という意味ですね。例えばリフォーム工事に150万円かかったら、100万円の補助金が出るという事です。120万円だったら補助金は80万円になります。
事前に審査が必要なんですよね?
はい、工事に入る前に申請が必要です。工事に入っちゃうと申請できませんのでご注意ください。あと、補助金は住宅が対象なので、住宅以外の車庫とか門とか庭とかは対象外です。
補助金の申請のタイミングはいつですか?
空き家の所有者さんとの契約が済んでからですね。米原市役所の4庁舎どこでも申請ができます。
米原市内のリフォーム業者じゃないとダメとの事ですが、移住者が自分で探して契約するのですか?
もし米原市内のリフォーム業者さんがわからないという場合は、空き家対策研究会から紹介する事もできます。
条件の「この補助金または米原市住宅リフォーム促進事業補助金交付要綱もしくは米原市 JR 東海道本線3駅周辺地域移住定住補助金交付要項による補助金の交付を受けて整備したものでないこと。」というが長くてちょっとよくわからないのですが。
ようするに他の補助金を受けてない事が条件です。2回目の補助金は受けられませんよという事ですね。
補助金に関するお問合せ
米原市役所 地域振興部 米原近江地域協働課
電話:0749-52-6623
おわりに
空き家バンクへの登録のご相談も移住のご相談もお電話で予約して頂けるとありがたいです。突然お越しいただいても対応できない場合もあって無駄足になる事もあるので。
どちらにしろ電話で予約は必要と思っていた方が良いですね。
そうですね。
Q12.最後に何かお伝えしたい事はありますか?
空き家の所有者さんは「こんな空き家登録しても無理でしょ」と諦めてらっしゃる方もおられるんですが、空き家期間が短くて住める状態でしたら結構早く成約するんです。なので諦めずに早めに相談してほしいなと思います。
米原市への移住希望者は年々増えています。
空き家の管理もしなくてよくなるし、賃貸なら固定収入も入ってくるし、いい事ばっかりだと思いますよ。
今使える状態の空き家も放っておいたら本当に使えない家になってしまうので、今空き家を所有している方や今後空き家になる場合もご相談をお待ちしております。
本日はお忙しいところありがとうございました。
米原市公式アカウントによる動画もあります。より雰囲気を感じ取って頂けると思います。
米原市へ移住された方の紹介
米原市へ移住された方のお店や生活についての紹介です。
米原市へ移住して衣料品セレクトショップを開いた田中秀典さん。
-
-
米原市に移住し、2018年4月にファッションセレクトショップ「isn't it design(イズントイットデザイン)」をオープンされた田中秀典さんにインタビューさせて頂きました。 米原市は ...
続きを見る
地域おこし協力隊として米原市へ移住し、自伐型林業を営む鈴木孝平さん。
-
-
地方移住という言葉が近年注目を浴びています。普通考えられる事として田舎に住む学生は卒業したら仕事を求めて都市部へ引っ越すという事。私の友達でも東京へ移住した人が多いです。 しかし、逆に田舎へ移住すると ...
続きを見る
米原市へ移住し古民家カフェを開いた森山さん。
-
-
米原市の堂谷という地域に古民家カフェ「森鈴(もりりん)」が2018年にオープンしました。オーナーである森山さんは大阪から米原市へ移住され、飲食店を経営していた経験を活かし移住先の米原市でも古民家をリノ ...
続きを見る
米原市へ民藝創生みらいつくり隊員として移住し、切り絵作家として活躍する早川鉄兵さん。
-
-
自然と動物たちを題材に、切り絵作家として日本全国で活躍されている早川鉄兵さんにお会いする機会がありインタビューさせて頂きました。 元々石川県出身の早川さんはカメラマンの仕事を経て米原市へ移住し、切り絵 ...
続きを見る
米原市へ移住し甲津原で薬膳料理カフェを開いた上野さん。
-
-
米原市の最奥地、甲津原で薬膳ランチが食べられるお店があります。店主さんは県外から米原市へ移住されてきて「山の薬膳ごはんよもぎ」という名前で2015年頃から始まりました。 薬膳とは中国を中心に行われてき ...
続きを見る
その他にもまいばら空き家対策研究会の公式サイトでは、移住者へのインタビューも公開されています。
空き家に恋した人たち | まいばら空き家対策研究会 - 恋する空き家プロジェクト
まいばら空き家対策研究会へのアクセス
まいばら空き家対策研究会の事務局は米原市長岡にあり、最寄り駅は JR 近江長岡駅です。徒歩で10分程度です。
JR 近江長岡駅出口から突き当りのT字路を右折し、長岡交差点を左折します。橋を渡って2つ目の十字路を左折します。
事務局の見た目は普通の民家ですが、入り口にまいばら空き家対策研究会の看板があります。
駐車場について
道を挟んで向かい側の東に駐車場があります。
空き家についてのお問合せ
米原市内の空き家をお持ちの方、米原市への移住をご希望の方、まずはお電話でご相談ください。
まいばら空き家対策研究会
住所:滋賀県米原市長岡1269
営業時間:8:30~17:00
定休日:土日・年末年始・お盆・GW
電話:0749-56-1034
公式サイト:まいばら空き家対策研究会 - 恋する空き家プロジェクト