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インタビュー

米原市で仏像彫刻を生業とする中川大幹さんに仏師のお仕事を訊く

米原市で仏師としてお仕事をされている中川大幹さんと偶然お会いする機会があり、仏師について色々とお話を伺いました。仏師という職業についてもほとんど知りませんでしたので、仏師とは何か、仏師とはどういう世界なのか、お仕事への取り組み方などをお聞きし、とても為になるお話を聞く事ができました。

仏師とは

仏師とは一言で言えば仏像を彫る職人さんの事です。しかしだたの彫刻家ではなく、信仰の対象となる仏像を彫る専門の職業です。彫刻家ではありますが芸術家ではありません。自分自身の作品を作る木彫りの彫刻家は好きなだけ個性を出して作る事ができますが、仏師は個性を出しません。出せないのです。

何故なら仏様は全体の形から、顔、衣装、装身具など全て決まっており、約束事がたくさんあります。その通りに彫るのが仏師なのです。

やりたい事を探し求めて見つけた「仏師」という道

Q1.仏師という道は普通の学生生活ではなかなか見つからないと思いますが、どんなきっかけがあったのですか?
子どもの頃によくお婆さんと一緒にお寺へ行く事が多かった。なかなか信心深い人でね、そういう中で宗教心が芽生えていったのかもしれん。高校の時は工業を学んでいたので一旦は一般企業に就職して、でも何か自分の生き方とは違うなという事を考え始めて、もう一度自分の人生を見つめ直そうと会社を辞めたわけや。
それはまた思い切りのいいと言いますか凄いですね。
それで果たして自分のやりたい事は一体何なのかと、各地を探し回った。ある時、小さい頃は絵が好きだったなぁと思い出して、もう一度絵をしっかり勉強しようと名古屋造形芸術短期大学に入って日本画の勉強をやり始めた。日本画を勉強する中で、仏画にのめり込んでより立体的な仏像にものめり込んでいった。

ある時、今の僕の師匠である松久朋琳さんが書いた「京仏師60年」という本に出会ってね。僕がやりたいのはこれだ!と確信して卒業後すぐに松久朋琳師匠の門を叩いたんです。

弟子にしてください!と…
そういう事です。けど同時僕は23歳やったので、仏師を志すにはもう遅いと断られてしまった。けどもうこの道しか考えられないと諦めきれず、8ヶ月くらい毎日通って頼み込んで。それでようやく許しが出て内弟子として修行する事になったんです。
一般的には仏師は未成年から始められているのですか?
中学校卒業して仏師の世界に入り、徹底的に叩き込まれます。体に木の香りが染み込むくらいになってようやく基本的な事が始まるという世界なんです。内弟子として師匠の身の回りの世話をしつつ修業をするという時代やった。師匠の仕事を間近に見て覚えていくという世界ですし、教科書なんてないしな。
師匠から技を見て盗んでいくわけですね。
Q2.修行時代というのは生活費を稼ぐ事はできたのですか?
修行時代は師匠と共に生活をするもので、食べる事と寝る所は師匠が面倒を見てくれました。
必要最低限はあったと。
それに小遣い程度は貰えました。だけど僕は仏師の世界に入るにあたって「これで食べていこう」とは全く思っていませんでしたよ。ただ好きで仏様を彫りたいという想いだけで入った世界なもので、たまたま食べていける位になったというだけでね。給料がいくらだとか休みが何日だとか考えていたらこんな仕事はできん。
もしかしたらお金にならなかったかもしれませんでしたか?
えぇ、十分あり得たでしょうね。親は凄く不安だったと思う。仏師の世界でなんて食べていけるのだろうかと。高校を卒業してからは自分の進む道は全部自分で見つけて、親には全て事後承諾。造形大学へ行ったのもアルバイトで学費を稼いだからね。
お金に困ることはなかったのですか?
それはね、時代と運が良かったんだと思う。師匠の所もだんだん大きくなって組織化して給料を貰えるようになったんです。しかし師匠の所から独立したら自分一人で全部やっていかなくてはいかんでしょ?そうなった時に上手くいく人といかない人で分かれていくね。

何しろ大きな機械もいるし、材料置き場もいるし、音はうるさくて近所に迷惑がかかるし街中ではできませんわ。たまたま僕は米原市に帰ってきたので、自分の親の土地もあり工房も建てられて運が良かったと思うね。

生まれ育った立地も良かったんですね。
そうやね。僕は恵まれてると思う。

仏師のお仕事について

Q3.仏師はどうやってお仕事をもらうのですか?
独立して3年はなかなか知ってもらえないから仕事は来なかった。それで色んな活動をしてきたね。展覧会に出したり、呉服店の催事の片隅で仏像を彫って知ってもらったり、どんな仕事でもまず知ってもらわない事には仕事も来ないからね。
Q4.仏教には色々な宗派がありますけど、仏像製作に宗派は関係あるのですか?
そりゃ関係ありますわね。どこの宗派から仕事が来るかわかりませんから、宗派についても学ばなくてはいけませんし、宗派によって仏像も違いますし常に勉強ですわ。
仏様には阿弥陀如来様、菩薩様、不動明王様など色々ですが、どんな仏像でも彫るのですか?
そりゃそうですわ。お客様に何を言われても彫れるようにしておかないといかんのでね。宗教の中には神道もあるので、神道の仕事もしてきましたね。
キリスト教だったら、イエス・キリストとかも?
そういうのもやったことある。
Q5.お客様はどんな方が多いですか?
ほとんどお寺さんやね。1回お寺さんの仕事をやると、お寺さんの横の繋がりで広めてもらったり。それを聞いたお寺さんからまたお仕事をもらえたりする。
いわゆる口コミですね。
そう。なので営業にも回った事がない。
営業に行ったことがないといっても、やはり最初は営業に行かないと仕事がもらえなかったのではないですか?
お客様に営業というか、仏具屋さんに行って仕事をもらってたんです。色々な仕事ができると仏具屋さんが次から次へと仕事をくださいました。すると仏具屋さんと取引のあるお寺さんから直接依頼が来ることもあって、だんだんそういう仕事が増えてきたんです。
Q6.仏像製作はどのように進められるのですか?
仏師というのは基本的に分業体制なんです。7人の職人さんの手を渡り歩いて1つの仏像が出来上がるというのが昔ながらのやり方で。しかしそのやり方だと、出来上がった時に思ったような物が出来ない事があるんです。だから僕としてはできる限り自分の目の届く範囲で仕事がしたいと思っていて、自分で彩色とか色々な事をするようになったんです。弟子にも色々な事ができるようにと指導してきたつもりです。
目の届く範囲で仕事をしたいというのは、つまり1つの会社でやるというイメージですよね。昔のやり方は他所の会社に外注を出すという感じですか。
そういう事やね。

息子さんや娘さんも仏師に

Q7.息子さんや娘さんの仏師の道を進まれたそうですが、自分から進まれたわけですか?
そうそう。僕は一切仏師になってくれとは言った事はない。息子の方は美大に行ってて進路をどうするんかな?と思ってたら、「お父さん、甘いかもしれないけどお父さんのもとで修行したいんだけども。弟子にしてくれ。」と言われたもので、今は弟子として扱ってる。

娘の方は仕事を辞めて実家に帰ってきて、仏師の截金(きりかね)の仕事をやりたいと。

※截金とは金箔を竹のナイフで細く切り、仏像や仏画に膠(にかわ)とふのりで張り合わせる伝統技法。

本日はお忙しい所お話を聞かせて頂きありがとうございました。

おわりに

今まで知らなかった仏師の世界やお仕事についてお話を伺い、とても興味深いものでした。普段お寺で見る仏像は、仏師である職人さんの手で作られていたものなんだなぁと改めて知り、これから仏像を見る目も変わりそうです。仕事に対する精神はとても見習いたいものです。

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