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インタビュー

米原市に移住し自伐型林業を営む鈴木孝平さんのネットと林業をリンクする挑戦

すずきちさん

地方移住という言葉が近年注目を浴びています。普通考えられる事として田舎に住む学生は卒業したら仕事を求めて都市部へ引っ越すという事。私の友達でも東京へ移住した人が多いです。

しかし、逆に田舎へ移住するという動きもあるのです。都会暮らしに疲れ、田舎でスローライフを送りたい。会社勤めに疑問を持ち、新しい働き方や生き方を求めるなど理由は様々です。

実は米原市にも移住をした人がいらっしゃいます。神奈川県出身のすずきちさんは米原市甲津原へ移住し、自伐型林業を営む傍ら地方移住の体験談を綴るブログを開設して「地方移住コンサルタント」としても活動されています。

地方移住と一言に言ってもそう簡単にできるものではありません。移住しても家はどうなる、仕事は、生活は、地域住民との交流は?など不安は尽きないでしょう。そうした事を実体験を通じて不安を一つずつ取り除いて、失敗しない地方移住方法を発信されています。

そんなすずきち(鈴木孝平)さんにインタビューさせて頂きました。

※情報番組のスッキリ!にも滋賀移住者として紹介されました。

すずきちさんプロフィール

神奈川県出身のすずきちさんは映画監督を目指して大学へ行かれましたが、芸術の道の厳しさに挫折を経験し一般企業の営業職として就職。

会社のために精一杯働いて貢献を続けてきましたが、残業続きの激務から睡眠不足、手の震え、原因不明の湿疹などただの疲れとは考えられない体の不調が出てきてしまいました。

その後、会社に務める生き方ではなく脱サラする方向へカジを切り何をしようか考えていた所、インターネットで「自伐型林業」を知る事になります。勢いで生業を「自伐型林業」に決定し、この仕事ができる場所へ移住することを決めました。

そして滋賀県米原市の最北部の集落、甲津原へ移住されたのです。

現在、奥さんと子ども2人の4人で生活されています。そんなすずきちさんにお話を伺いました。

地域おこし協力隊として米原市へ移住

Q1.米原市に移住されたのはいつ頃ですか?
僕は2017年の9月末です。妻と子どもたちは2018年3月末に移住してきました。
Q2.移住先が米原市になった経緯はどのような事なのでしょうか?
東草野まちづくり懇話会という団体が米原市との協働事業の一環で、地域おこし協力隊として自伐型林業に取り組む人を募集していたからです。

協力隊制度を活用した自伐型林業の就労者の募集は他の自治体でもありました。ですが、妻が出産を控えていたので移住先がどこになろうが妻は産後半年間は京都にすみ続けるということになりました。

そして出産後もサポートに駆けつけられる距離にしようということになり、検討を重ねた結果、米原市に決めたというのが一連の流れになります。

Q3.初めて米原市を訪れた時、印象はどうでしたか?
米原の市街地は寂しい感じがしました。
新幹線の駅があるけど降りたこともなかったですし...笑
ですよねー(笑)

米原市は新幹線が停まるのに何もないってよく聞くんです。それが「まいばらんど」を作ったきっかけだったんです。

東草野地域は山間の集落ですが、思っていたより空がひらけてい気持ちがよかったです。
Q4.実際米原市に住んでみてどうでしたか?
人が少なくて落ち着くけど、ふらっと入れる飲食店が少ない!
あぁー、でも米原市にも飲食店意外にあるんですよ。
昼は開いてても、夜開いてる所が少ないんですよね。
確かに。米原駅周辺ならともかく、市街地から離れると少ないですね。
僕らが最も外食する所って、伊吹の里の道の駅です。

あと、どこに行くにも車なので意識して運動しないと足腰が弱くなりますね。

Q5.甲津原の方々との交流はいかがですか?
時たま草刈りが追いついていなくて怒られたりもしますが(笑)、基本的にはよくしてくれる方が多くて感謝しています。

昔の生活文化を教えてくれるおばあさん、おじいさんもいるので、日々勉強させてもらっています。

米原市への移住の経緯や、印象について伺いました。神奈川出身のすずきちさんでしたが、今ではもうすっかり米原に馴染まれた生活を営まれていました。米原市の印象も良いようで、同じ米原市に住む私としても嬉しく思いました。

仕事は自伐型林業とインターネットの活用が鍵

Q6.自伐型林業とはどのようなお仕事なのでしょうか?
昔は自分の山は自分たちで手入れをしていました。これを自伐林業といいます。

今の林業は山主が山の手入れを他人に委託しているケースがほとんどです。昔と比べて丸太の価格がかなり下がっているので、委託してるとほぼ100%赤字です。

だから「山は儲からない」というのが定説になっていますが、じゃあ自分らでやったらいいんじゃない?ということで始まったのが自伐「型」林業です。

「型」とついている理由は、手入れをする人たちは山を持っていないからです。山主じゃないことことが多いです。長期間に渡り、山に張り付いて手入れをするスタイルです。

でもそれは、山主さんがすずきちさん達に委託している事と同じなんじゃないですか?
業者に委託すると多大な人件費、手間賃がかかります。でも僕らは人件費も手間賃も頂いていません。ただし、山の材木は使わせて頂きますよという感じです。

山主さんは山を放っておくとどんどん荒れていきます。お金もかからず山も手入れしてもらえるという事で山主さんにとってもメリットなんです。

業者だとどうしても効率や売り上げを優先しなくてはいけないのですが、僕らの場合は「この木は数年後に更に太くなって活用できるから残しておこうか。」というように相談しながら進める事もできます。

一度手入れを委託して関係が終わってしまう施業委託型とは違い、手入れをする人が山の近くで暮らすことも多く、移住者の新規就労、雇用を生み出しているケースもあります。

詳しくは自伐型林業推進協議会のサイトをご覧ください。

自伐型林業とは | NPO法人 持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会

山の木って資源じゃないですか、そのうち無くなってしまうのでは?植林とかもされるんですか?
植林という話もあがってますが、まだやっていません。萌芽更新が可能な広葉樹の活用を進めています。山の現場を数年単位で移り変わって、10年後またここに戻ってくるというイメージです。
大変スケールの大きいお仕事ですね。

Q7.自伐型林業はどうやって収入に?
  1. 伐り倒した原木を原木市場に出荷したり、ベニヤ板やチップ、パルプの材料にする。
  2. 【木の駅プロジェクト】という5000円/tで丸太を買い取ってくれるサービスもあります。
1トン5,000円ってやばいですね。恐ろしい安さ。
なので1、2のいずれも、施業地の立地や運搬費用などを考慮すると費用対効果が悪い面があるので、僕らは薪の販売しいたけのホダ木生産のほか、最近はチェンソーで製材した無垢の一枚板の商品化にも取り組みだしました。

チェンソーでの簡易に製材した板でも、電気カンナで表面を仕上げていくと木目がキレイに出るし肌触りもいいので気に入っています。

DIY好きの方や木工作家さんなどの需要とうまくマッチングできたらと考えていて、これからの課題です。

里山林ならではの多種多様な樹種があるので、「こんな材があったらいいな」という注文にもお答えできるかもしれません。

Q8.実際に自伐型林業をやってみて手応えはいかがですか?
高知や奈良といった林業地と違って、ぼくらはいわゆる"雑木"が多い山での施業しています。

雑木=広葉樹を活かすための試みをしている段階なので、「これでいける!」という手応えはまだ掴めていません。

薪、ホダ木、無垢の板、木工品あたりをモノとして販売してみることで、お客さんの反応をみていこうという話はしています。

素早く試行錯誤と軌道修正を繰り返していけば、だんだんと収入に繋げられるのではないかと思っています。

Q9.1日のお仕事の流れについてお伺いしても良いですか?
大きく分けて作業内容は以下の4つです。

  1. 伐倒(立っている木を伐り倒す)
  2. 造材(倒した木についている枝葉を切りおとす&運べるサイズに丸太を切る)
  3. 集材(丸太を運び出すために集める)
  4. 搬出(集めた丸太を山からおろす)

大まかな仕事の流れはこんな感じですが、これらの作業に入る前に作業道という道をつくります。

山への環境負荷を最低限にするため道幅は2.5mを厳守、切り取り高は1.4m程度に抑えます。

Q10.収入源は自伐型林業の他に何かされているのでしょうか?
営農組合の仕事(田植えや草刈りなど)をたまにお手伝いしています。

あと、まだ収入には繋がっていませんが、地方移住に関する情報発信をブログで行なっています。

Q11.今後活動したい事、やりたい事などはありますか?
地方移住のハードルを下げることですかね。

具体的には、ブログでの情報発信を通して、地方移住に踏み切れない人の背中を押してあげられるようになりたいです。

というのも、ぼくは都市部で働く人の悩み(人間関係や職場の環境)を解決するひとつの方法として、地方移住を提案しています。

ひとは環境次第でいくらでも変われると思っていますし、その逆に環境次第でいくらでもダメになっていく。

環境のせいにするな!逃げるな!という立場もあるかもしれませんが、我慢して心身の健康を損なうくらいならさっさと仕事や住環境を変えるべきだと思うんです。

確かに体は資本って言いますし、体が完全に壊れてしまう前に逃げ出すべきと私も思っています。
で、実際に移住して家族でなんとか暮らしてるぼくみたいな人間もいるということが、クヨクヨ悩んでる人の助けになれたら最高だなと思ってブログをやっています。

それから地方移住の本質って、【引越し+その後の暮らし】だと思うんです。

多くの地方移住で問題になるのは【その後の暮らし】の部分です。例えば住居や雇用ですね。

各自治体や民間で空き家バンク的な機能を果たす団体も多いので、住居はまだいいと思います。

問題は雇用、お金の問題です。

移住先でいかに納得のいく仕事に就くか、あるいはナリワイをつくるか。

移住するにしても継続的にお金を得る手立てがないと無理ですよね。
僕自身がそうなだけかもしれませんが、移住したらナリワイをじぶんでつくりたいとずっと考えていました。自伐型林業もそのひとつです。

けど自伐型林業で稼ぐのも楽じゃないなと思ったんです。でもそれも当然だなと。

どうしてかというと、言ってみればナリワイをつくるのって起業ですよね。今風にいえば小商いとかスモールビジネスですかね。

いざやってみると難しく思えたんですが、その原因は明らかでした。

僕は起業や経営の素人だったんです。
起業や経営について勉強したこともないし、誰からも教わったこともない。

前職は雇われる側で会社員という身分でしかなかったわけですから、考えてみれば当たり前ですよね。笑

会社に頼らずお金を稼ぐって私も簡単な事ではないと思いました。
だけど移住してナリワイをつくりたいというパターンの人で、どれだけ起業や経営の知識を身につけた人がいるんだろうと。

ビジネスの知識もないままナリワイをつくる!なんてよく考えていたなと、いうことです^^;

逆にいえば、ナリワイをつくってそれで収入を得ていきたいならビジネスの知識が必要だということですから、あとはビジネスを勉強して知識を身につけてそれを実践したらいいだけですよね。

ということで、地方移住の本質で肝心な部分【その後の暮らし】を成功させるためにも、ぼくは起業や経営の勉強をするようになりました。

ぼくのメンター(先生)についてはじぶんのブログで詳しく紹介した記事があるので、移住してじぶんのナリワイをつくっていきたい!という人は読んでみてくださいね。

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せっかく甲津原にもインターネットが開通しているので、インターネットの活用が鍵になると思います。すずきちさんはブログ開設やネット関係にもお詳しいようですし、自伐型林業も地方移住もいかにしてインターネットを活用して収益に繋げるかが鍵だと思います。

私はかつてネットショッピング業界にいましたが、どんなジャンルでもだんだん物を売る事が難しくなってきています。その中でもライバルより売るためには付加価値。プライベートブランド化する事が肝という事を学びました。

林業だったら、加工して木工品のブランド化とかでしょうか…。

実は木材のスプーンの加工とかも始めています。あと、さっき言った無垢の一枚板なども。
無垢の一枚板は意外と需要がありそうな感じがしますね。テーブルとか、無垢材を求めている人もいると思います。あと、脚はいらんから板だけ欲しいという人もいますからね。
体験を売るという事もやってみたいですね。薪割り体験、木工体験とか。
それもいいですね。他の所では雪掘り野菜収穫体験とか見かけました。それこそインターネットの活用でしょう。

米原での生活は都会では考えられない事も

Q12.移住して苦労したエピソードがあればお願いします。
僕が移住して半年間は家族と別居していたのですが、これが寂しくて結構辛かったです。

週末は京都に帰るというのが条件で移住したわけですが、春までに家族も移住するためには借りている古民家の改修も終わらせなくちゃいけない。

ということで徐々に家に帰ることも出来なくなって、たまに会う子どもの成長ぶりにいちいち泣いてましたね。(笑

甲津原の豪雪の中、床の構造用合板を100枚くらい運んだりもしましたし慣れない雪国暮らしで水道管も凍らすわ、給湯器の配管は破裂させるわで、毎日「今日は何も起きませんように...」と願う日々を送っていた時期もあります。

Q13.移住してよかったエピソードがあればお願いします。
家族で一緒にいられる時間が増えたことです。

僕の仕事は日が暮れたら終わりますし、最近まで妻は在宅でデザイン(本の編集やチラシ、名刺など)をしていたので残業で夜遅くまで働くということはありませんでした。

自分で仕事をするとなるとそれが最初のメリットですね。
甲津原は土地も広いし自然も豊かな場所なので、近所の方が取ってきてくれた木の実や家庭菜園で取れた無農薬の野菜が食卓に当たり前に並ぶようになりました。

雪深いこともあり、移住前と比べて四季の移り変わりをかなり意識するようになりました。

カッコよくいえば、自然とのつながりを感じられるということです(笑

関東では1cm雪が積もれば大雪ですもんね。甲津原では1メートルもザラで…。
Q14.休日というものは存在するのでしょうか?
はい。同僚との間では基本的に土日は休日ということにしています。
同僚というと、雇っているんですか?
いえ、地域おこし協力隊として一緒に入ってきた2人と一緒にやってます。
Q14.休日はどのように過ごされていますか?
ルッチプラザの図書館をよく利用しています。あとは長浜に買い出しに行くこともあります。

最近はじめて行ったんですが、大野木の「あじっこパーク」という取り組みはご存知でしょうか?

それは知りませんでしたね。
地域の子どもたちが思いっきり遊べる広場があって、お昼ご飯はひとり300円(子どもは無料!)でいただけたりする交流の場です。

秋晴れの気持ちいい天気で、20人以上の小学生に混じって、うちの子どもたちも楽しく遊ばせてもらいました。

それはまた調査に行かねば!
Q15.地方移住したい人にアドバイスはありますか?
単純に人が足りないので、都市部では必要とされていなくても中山間地域ではめちゃくちゃ重宝されます。

都会暮らしがちょっとしんどくなってきた...なんて方は移住という方法もあります。

移住というとハードルが高く感じるかもしれませんが、地方移住の正体は【引っ越し】+【その後の暮らし】です。

自分がどこにハードルの高さを感じているか、ぜひ一度考えてみてください。

ぼくのブログで失敗しない地方移住のためにやるべきことを解説した記事があるので、そちらもあわせて読んでみてもらえるとうれしいです。

地方移住で自由になりたい!失敗しない移住のための9ステップとは? | 地方移住部。

Q16.この場で何かアピールしたい事はありますか?
自伐型林業と地方移住コンサルタントとして、2足のわらじを履いています。

「手に負えない山がある」
「あの木を切ってもらえないだろうか」
「薪ストーブユーザーなので薪がほしい」
「木工用の材料がほしい」
「木工体験を企画してほしい」

といった山林関係のお仕事を承れます。

「地方移住したいけどハードルが高く感じる」
「具体的にどうすれば失敗しないか知りたい」
「移住に対する嫁ブロックのかわし方」
「移住経験者の話を直接聞きたい」

という地方移住関連のお問い合わせも無料で受け付けています。

また、こんな記事を書いてほしい!こんなイベントを企画してほしい!というご要望も随時募集しています。
どうぞお気軽にメッセージいただければうれしいです^^

【お問い合わせ】
・ブログ:地方移住部。
・Twitter:すずきち/ 失敗しない地方移住(@szkjpx)さん | Twitter

実際に薪割りのお仕事を見せていただきました

おおっ、職人!スパーンと薪を割る姿は迫力ある職人技でした。

本日はお時間を頂きありがとうございました。米原で情報発信されているすずきちさんと出会えてとても良かったです。

おわりに

米原市に移住され、甲津原にお住まいのすずきちさんにお話を伺いました。地方移住という決断をして自伐型林業を営む中、自らの移住の体験談をブログに綴り地方移住のハードルを下げたいと活動されるすずきちさんには感銘を受けましたし、参考になる所も多かったです。

まいばらんども「米原は何もない。」と言われないように米原市の魅力を発信し、観光客が増えたりひいては移住者が増えてくださるよう活動を続けたいと思いました。

すずきちさん

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