米原市の大久保という地域にある「久次郎」は古来より1,300年前から伊吹山の麓で栽培されていた伊吹在来そばの玄そばを使用した伊吹そば専門店です。
久次郎のオーナーである谷口隆一さんは元米原市の市職員。米原市に伝わる伝統野菜の「伊吹大根」と伊吹在来そばの「伊吹そば」の栽培を始める為、市役所を早期退職。いぶきファームを発足し、後に久次郎をオープンされました。
平日はいぶきファームの野菜の栽培、蕎麦屋さん「久次郎」は土日祝のみの営業です。
目次
店内について
テーブルには湯呑とお茶が入ったポットがあり、セルフサービスです。
久次郎のメニュー
メインの蕎麦をざる蕎麦、ぶっかけ蕎麦、温蕎麦の3種類から選びます。天ぷらの有無で値段が変わります。
- 天ぷらセット:1,500円
- 天ぷらなし:1,000円
どちらにも、伊吹大根おろし、自家製漬物、デザートが付きます。
すべて伊吹の地で摂れた素材で作られたご当地そば定食です。
ぶっかけ蕎麦です。冷たい方が伊吹大根の独特の辛味と風味が活きるという事でおすすめだそうです。温かいと特長である辛味がやや抜けてしまいます。
まずはこの伊吹大根おろしが久次郎蕎麦の特長の一つ。ただの大根おろしではありません。水分が少なく独特の辛味、そして後から感じるほのかな甘味があります。辛いと言っても嫌な辛さではなく旨い辛さなんです。
これがこの地の固有種、伊吹大根です。一般的な大根とは見た目も全然違います。根っこの先がネズミのしっぽのようなので、ねずみ大根とも呼ばれます。抗癌作用のある辛味成分(イソチオシアネート)を多く含みます。
伊吹大根は栽培地の高低差で味が変わるそうで、伊吹山の山岳地帯で栽培しないと本物の味が出ないそうです。その為、いぶきファームでは車で行くのも困難な山岳地帯、鹿や猪も闊歩する厳しい土地で伊吹大根を栽培されています。こだわりの本場の伊吹大根を味わえます。
まずは伊吹大根をそばに絡めていただきます。辛いだけではなく大根の風味もしっかり感じられ、何より伊吹そばの薬味として凄くピッタリです。蕎麦の旨味を引き立てています。
そしてメインの伊吹そば。そばの中に黒い点々が見られます。これはそばの実の殻です。
伊吹在来そばの特長は、小粒で甘みがある事です。蕎麦の風味も良く、コシがあります。総じて美味しいです。実はこの小粒という所が珍しいものなのです。小粒のそばの実は小さすぎて一般的に製粉会社で扱えず、小粒のそばの実を弾いたそば粉はほとんど流通していません。
そばを途中まで食べたら、自然薯(とろろ)を入れてみましょう。こちらも伊吹の地で育ったものです。また伊吹そばの味わいが変わり、一度に二度楽しめます。
そして注文が入ってから揚げられる地元野菜の天ぷらです。人参、しいたけ、ねぎ、山菜、いも、大根など。大根の天ぷら!?と驚きました。大根の天ぷらなんて食べたことがありませんでした。
普通の大根は天ぷらにするとクタクタになってしまいますが、伊吹大根は水分含有量が少ないので天ぷらにしても美味しいんです。と教えてもらいました。
よもぎプリン
デザートとして付いているのはいぶきファームで製造されているよもぎプリンです。いぶきファームで生産されているよもぎの先端部分だけを使用しているので、繊維質がなく滑らかな触感を実現しているのだとか。
自然な甘みと爽やかな清涼感でこれは絶品です。ミントのような洋風な刺激感ではなく、あくまで和風な爽やかさを感じる柔らかなプリンでした。このデザートは最高です。
よもぎプリンは、久次郎でもお土産品として販売されています。また、道の駅「伊吹の里旬彩の森」でも販売されています。
久次郎のよもぎ餅
久次郎で数量限定で販売されている「久次郎のよもぎ餅」も販売されています。
いぶきファームで生産されている伊吹のよもぎをふんだんに使った濃厚なよもぎ餅です。凄く色が濃いのが特長ですね。
凄く歯ごたえがあり、よもぎの風味も濃厚です。
こちらは久次郎限定での販売です。
伊吹そばやよもぎ餅を販売する売店
店内では、ご家庭調理用の「伊吹久次郎蕎麦」や数量限定品の「久次郎よもぎ餅」、伊吹大根の加工品などの食品も販売されています。特に久次郎のよもぎ餅はここでしか買えません。
よもぎ餅は限定品なので、お求めの方はお電話で予約するのが確実です。
電話:0749-58-0906
- 伊吹久次郎蕎麦(2人前:半生):700円
- 伊吹久次郎蓬蕎麦(2人前:半生):750円
- 久次郎のよもぎ餅(4個入り):560円
- 他
お中元やお歳暮に伊吹の恵みセット(予約制)
久次郎では伊吹の恵みを詰め合わせたギフト商品も取り扱われています。伊吹そばや伊吹大根、お漬物など予算に応じてお選びいただけます。
- 2,500円セット
- 3,000円セット
- 3,500円セット
- 4,000円セット
- 4,500円セット
ご希望の方はお電話で予約をお願いします。
電話:0749-58-0906
伊吹そばの歴史
伊吹そばの生産は江戸時代には既に行われており、伊吹山の中腹にまで蕎麦畑が広がっていたと伝えられています。蕎麦の花が咲いたら長浜からも伊吹山が白く見えたそうです。
伊吹の地で育てられた伊吹そばは領主であった彦根藩でも評価が高く、江戸幕府への献上品としても名を連ねていました。
その評価の高さは伊吹の地が蕎麦の生産に適していたという事が要因でしょう。山間の伊吹の地は夜の冷え込みが厳しいのがこの土地の特長、蕎麦は冷え込みが厳しいほど栄養価の高い良い蕎麦ができます。そして、土質も石灰土壌で水はけが良く蕎麦の生育に適していたのです。
偶然にも滋賀県米原市の伊吹山麓は、気候も土質も蕎麦に最適な場所だったのです。それが銘蕎麦「伊吹蕎麦」を産んだのでしょう。
久次郎へのアクセス
久次郎は伊吹山の麓の道の駅「伊吹の里旬彩の森」より更に伊吹山方面へ車で5分程度行った所にあります。
国道365号線からなら野一色東交差点を北へ行き、最初の信号を直進します。
ここから山の方へ道なりに車で5分程度です。近くなると久次郎の看板が立っています。
駐車場について
久次郎の裏が専用駐車場になっております。舗装はされていませんが、乗用車2台程度は駐車できます。
その他近隣に、第二・第三駐車場があります。
お支払い方法
お支払いは現金のみです。
おわりに
米原市の伊吹山の恵みを切に感じるお食事でした。山中へ行くのでちょっと遠いですが、伊吹の特産品を食べるために行く価値ありです。
日本古来より生産されている在来種、伊吹そばを味わいに足を運んでみてはいかがでしょうか。
お店情報
久次郎
住所:滋賀県米原市大久保1035
営業時間:11:00~14:00
定休日:月曜~金曜
電話:0749-58-0906
食べログ:久次郎 - 長浜/そば [食べログ]