米原市にある JR 醒ヶ井駅のある場所は地名と駅名が異なっています。不思議に思った事はありませんか?駅名は「醒ヶ井」ですが、地名は「醒井」なのです(読み方はどちらもさめがい)。観光に訪れる人も駅名が「醒ヶ井」である事から、地名も醒ヶ井と思われている模様。何故こんな混乱するような事になってしまったのか。
この事については昔から疑問に思っていたのですが、実際に調べてみました。
図書館で調べてみた
図書館で旧米原町の歴史がまとめられている「米原町史」を開いて調べてみました。
醒ヶ井駅は米原駅から関ヶ原駅までの延伸の際に、醒井村(現在の醒井)の人たちの要望で苦心の末設置にこぎつけた駅だったそうです。1900年(明治33年)に一般駅として新規開業しました。この時点から既に駅名は「醒ヶ井」でした。
地元の人の要望から出来た駅なのに漢字がちょっと違う「醒ヶ井」にするのか?と不思議ではありましたが、その由来については書かれていませんでした。
駅員さんに聞いてみた
醒ヶ井駅の駅員さんなら何かご存知だろうと実際に聞いてみました。
確かな事はわからんけど、地名も昔は「醒ヶ井」で後々「醒井」なったようで。駅名は変えられないのでそのまま使われているんだ。
地名が元々「醒ヶ井」だったという事には少々疑問に感じました。江戸時代の中山道の時代から醒井の宿場町は「醒井宿」と呼ばれています。更にこの付近の史跡や施設は全て「醒井」なのです。
- 醒井養鱒場
- 米原市醒井宿資料館
- 醒井木彫美術館
- 醒井地蔵尊
- 醒井峡谷
見事に「醒ヶ井」は駅だけです。
醒井養鱒場さんに聞いてみた
醒ヶ井駅が出来る前から歴史がある醒井養鱒場さんに聞いてみました。昔は醒ヶ井だったのか?という事などを。
うちは最初から醒井養鱒場やった。駅だけ醒ヶ井なのは疑問には思ってたけど深くは考えてこなかった。
後から名前を変えたという事実もないそうです。ただ、昔の資料を見てみると「醒ヶ井養鱒場」と書かれた記述も見当たる事とはあるが、正式名称は「醒井養鱒場」とのこと。
JR東海に聞いてみた
ここまでこれといった収穫がありませんが、醒ヶ井駅の管轄である JR 東海に聞いてみました。ここなら間違いなく何かご存知でしょうと。
JR 醒ヶ井駅については国鉄から受け継いだものとなるため、名前の由来については弊社では分かりかねます。
…。
国鉄とは日本国有鉄道の事です。昔は鉄道を国が運営していたんです。その国有鉄道を1987年の国鉄分割民営化で JR 各社に事業が受け継がれたという事になります。
その日本国有鉄道も既に解散しています。という事はもう打つ手なし、真相は迷宮入りでございます。
米原駅の読み方
醒ヶ井駅の「ヶ」の理由についてはわかりませんでしたが、よく似た事象に米原駅の読み方についても謎があります。
米原駅の読み方はまいばらですが、旧米原町の読み方は「まいはら」だったのです。市町村合併の際に米原市になった時に正式に「まいばらし」となりました。その名残で、北陸自動車道の米原インターチェンジの読みは(まいはら)です。ここにも読み方の違いに混乱があります。
この事については「米原町史」で言及がありました。米原駅設置に関する資料には当時「まいはらえき」という記載はありましたが、駅名はまいばらえきとなってしまっている事については謎な事が多いとされています。
つまりこれも国鉄時代に、町の名前は「まいはら」であったにも関わらず、駅名は「まいばら」にされてしまったのです。
元国鉄勤務の人に聞いてみた
偶然にも米原市で元国鉄勤務の人に出会う事ができました。醒ヶ井駅の名前について訪ねてみました。
国鉄では読み易さを重視して駅名を決定していた節があったそうです。せきがはらが「関ヶ原」のように、さめがいも「醒ヶ井」に。同様にまいはらも読みやすいとは言えませんから「まいばら」に。そんな真相がありました。